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この八年間に比べて、わたしの気持ちは不純になった。
おかしな話だ。
ずっとファンとして見守ってきて、それには価値があると思っていたのに。
みずから、不純になってどうするのだ。
わたしは、弱虫だ。
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どんな気持ちでいればいいのかわからない。
知らない人だ。
よく知りもしない人なのだ。
きっと、幻想なのだ。
好きという気持ちも、いっときのものなのだ。
こわい。
壊れるのがこわい。
きちんとしていたかった。
自制心が効かない。
どうしたらいいのか。
結論を急ぐのは、得策じゃない。
わかってる。
だから、苦しい。
ほんとにどうでもいいよ。
久しぶりに会社に行って、
帰り道から吐き気がすると思っていて、
我慢して電車に乗り込んだけれど、
やっぱり駅を出たら過呼吸の気配がして
しゃがみこんで薬を飲んで休んで、
「大丈夫ですか?」と聞かれたけれど
救急車を呼ばれてはとてもやっかいだったので、
すこしだけふらふらしながら
改札の前を抜けて帰路に着いた。

たまによろめきながら、
血の気が引いていくのがわかって、
いよいよ橋を渡ったあたりでしゃがみこんだ。
どうせここまでくれば家も近いし、
駅近くではないからだれも興味を示さないはず、と
ちょっとした安心感もあった。

そこに、声をかけてくれた女の子がふたりいた。
ふたりは、自分の勤めている銀行で休んでいって、といって、
わたしは、大丈夫です、といいながら涙が止まらなかった。
安心は、こっちのほうだった。
ふたりは、ATMのはじっこでわたしの横にいてくれて、
「あんまりいきたくない飲み会に誘われていたからちょうどよかったんです」
と笑ってくれた。
わたしは、その笑顔がうれしくて、
どうしようもなくうれしくて、
泣きながらありがとう、すみません、とくりかえして
ほんとうに悪いことばかりじゃないと、
迷惑をかけられているのに、ずっと近くにいてくれて
そんな人が他人なのにいることがあまりにうれしくて、
なんと言葉にしていいかわからなかった。

ふたりと、友人になりたい、と思った。
そして、勝手に連絡先を渡して、ふたりをとてもかわいいですね、と
正直に言葉にした。
ふたりは、わたしを家の近くまで送ってくれて、
メールをします、といってくれて、ひとりからのメールはさっききて
ほんとうにこんな出会いがあることをわたしはまたうれしく感じた。

女の子は、なんてすてきでかわいいんだ。
 たまたま、笑える本を紹介してほしいといわれて本棚を漁り、いくつか取り出した。メールを送ったあとで、せっかく取り出したのだからと、椎名誠「さらば国分寺書店のオババ」を読んでいたら、最初は笑えていたのにだんだん笑えなくなってきて、途中から涙が滲み出した。笑える本なのだ。書いてある内容も、古い時代のものではあるけれど、とても鋭い直感的笑い要素があって、初期椎名誠のすばらしい観察力と独特の表現力はすばらしかったのだけれど、わたしはどうしても笑えなかった。笑う能力が低下しているのだ。
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